囚われた女たち

女子刑務所へ愛をこめて

囚われた女たち表紙

著 者 藤木 美奈子
発行所 ライブストーン株式会社
発売元 星雲社
本 体 1,553円+税
B6判 272ページ

元和歌山女子刑務所刑務官で、現在はフリーライターとして活躍中の著者が、「塀の中」の女たちの真実の姿に、自身の子供時代の性的虐待体験を重ねて描き、勇気あるペンが感動を呼ぶ話題作。

■刑務所モノの中では異色のノンフィクション

社会の縮図といえる刑務所内の人間模様を見つめる筆者自身、義父から性虐待を受けて以来、「幸せは私にふさわしくない」と思いつづけた、長い長い「心の獄中生活」を送ってきた。

ここには多数の女性が登場する。タフで陽気な囚人たち、お金も学歴も地位もなんにもない孤独な女たち。従来の刑務所のルポとちがって、実体験を通じて女たちの囚われた状況を、それに負けないたくましさとともに描き出している。重いテーマだが、大阪弁の会話をまじえた軽快な語り口に引きこまれる。

「前科者のように、誰も私を知らない新しい町で、私はもういちど人生をいちからやりなおした」

そんな著者の生き方が感動的で、悪戦苦闘している人たちに励ましを与えるはずだ。

■性暴力・子供の虐待を考えるきっかけに

発刊以来、読者から著者のもとへ多くの手紙が寄せられた。明るい語り口と実名による訴えは、同じ痛みを持つ人の間に共感の輪を広げている。

著者を中心に性虐待の体験者が集まった座談会の特集記事が「週刊女性自身」に掲載され、10代から40代までの女性たちが、自ら受けた性暴力についてオープンに語り合ったことが反響を呼び、同誌では第二弾も掲載。「私だけではなかったのだ、と。少しだけ救われました」というサバイバーの声は切実だ。

その後も、ひとり苦しんでいても癒されることのないこの問題に対し、閉ざされがちな面を打開しようと訴えている。

●マスコミ関連記事の記録

「囚われた女たち」と著者については、これまで多くの新聞・雑誌で紹介されてきました。

1995.9.29 朝日新聞
「“塀の中”に被虐待体験重ねて」
1995.12.7 ニュース和歌山<ひと>
「虐待防止活動を広げたい」
1995.12.13 夕刊フジ<人ほれぼれ>
「ペンで開く重い真実」
1995.12.14 毎日新聞
「実名の体験記に反響」
1996.1.17 SPA!<なにわ通信>
「藤木美奈子という生き方について」
1996.1.173.13 毎日グラフAMUSE<ロングインタビュー>
「力強く自分の生を肯定するノンフィクションだ」
5月号 婦人公論
「性的虐待を実名で告発した私」
1996.1.178.6 女性自身
「被害者座談会・近親強姦を告発する」
1996.1.1711.26 女性自身
「読者からの40通の悲痛な手紙」
1997.5.14 SPA!<対談>
「子どものときに性的虐待を受けた人間の生き方とは?1」
1997.5.21 SPA!<対談>
「子どものときに性的虐待を受けた人間の生き方とは?2」
1997.11.2-11.30 朝日新聞(大阪版)<風発>5回にわたってエッセー連載

その他 週刊金曜日、日経ウーマン、日経新聞、神戸新聞、京都新聞、信濃毎日新聞など。

■『囚われた女たち』目次